しがないブロガーでブログ収入はあまりない筆者。そのため、健康保険は夫の扶養に入っています。
今年も売上はぱっとしないのですが、株式収入の方で利益がかなり出ました。
このとき気になったのが「株の利益(特に特定口座)は『収入』とみなされるのか」ということ。
ネットで調べると「配当金は定収入なのでみなされるが、株取引はみなされない」という意見もあれば、「特定口座だろうと収入としてみなされる」という意見もあって様々。
結論として、私が入っている健康保険組合に確認したところ、「株の利益は特定口座でも『収入』とみなす」ということでしたのでここで備忘録をまとめます。
前提1:「協会けんぽ」と「組合健保」でも違う
「協会けんぽ」とは全国健康保険協会の略称で、多くの中小企業が加入している健康保険です。また「組合健保」とは、中規模から大手の企業が主に加入している健康保険です。
Carely. “「協会けんぽ」と「組合健保」とは?健康保険をわかりやすく解説 | Carely(ケアリィ)”.
Carely. 2025-1-23.
https://www.carely.jp/company-care/health-insurance-of-difference, (参照2025-11-28)
前提として、「健康保険」と言っても違いがあることがわかります。
実は株取引を収入として扱うかは「協会けんぽ」や「組合健保」によって異なるうえに、組合の場合は保険者ごとにさらに細かいルールがあります。基本的には「協会けんぽ」よりルールが厳しいです。
そのため、ネットで調べてみて意見が割れるのはこの「協会けんぽ」と「組合健保」の違いや、各組合ごとの違いが理由のことが多いです。
前提2:「税法上の扶養」と「健康保険上の扶養」は異なる
「税法上の扶養と健康保険上の扶養は異なる」ということも前提条件として必要です。
ここでいう「税法上の扶養」は配偶者控除や扶養控除の対象になるか、
「健康保険上の扶養」は健康保険料の負担がなくなるか
を示しています。
ついでに、この「健康保険上の扶養」と国民年金保険料の負担がなくなる「厚生年金の扶養」とあわせて、一般的には「社会保険上の扶養」と言われています。
例えば、一般口座や特定口座(源泉徴収なし)で取引をしていた場合、確定申告が必要になり、基準額を超えれば税法上の扶養も健康保険上の扶養も外れてしまいます。これはわかりやすいかと思います。
逆に、特定口座(源泉徴収あり)の場合はあらかじめ税金が源泉徴収されており、確定申告をしなければどれだけ稼いでも「税法上」の扶養は外れません。ただ、これはあくまで「税法上」での話で、「健康保険上」は対象外の可能性があるのです。
図にするとこんな感じ。
| 取引口座 | 確定申告 | 税法上の扶養 | 健康保険上の扶養 |
|---|---|---|---|
| 一般口座 | 必要 | 基準を超えたら抜ける | 基準を超えたら抜ける |
| 特定口座(源泉徴収なし) | 必要 | 基準を超えたら抜ける | 基準を超えたら抜ける |
| 特定口座(源泉徴収あり) | 不要※1 | どれだけ稼いでも大丈夫 | ? |
この前提を理解しないまま、「特定口座(源泉徴収あり)なら扶養を抜けない」という言葉が一人歩きしている可能性があります。
「扶養」というのが「税法上」を示すのか、「健康保険上」を示すのかの判断が重要です。
結論:筆者の入っている組合健保は特定口座(源泉徴収あり)でも対象だった
前提1の通り「協会けんぽ」「組合健保」でも扶養認定のルールが異なります。
まずはネット(公式サイト)で探してみて、情報が載っていなかったら電話をするのが確実です。
実際に電話をしたところ、以下のような回答をいただきました。
- Q特定口座(源泉徴収あり)で取引をした利益は、扶養認定に必要な「収入」にあたるか
- A
特定口座での取引も収入とみなす。なお、収入額は源泉徴収前の金額とする。
- Q自営業で確定申告後に基準額を超えていた場合はどの時点で削除扱いになるか
- A
確定申告した年の1月1日
とのことでした。※あくまで筆者が入っている組合での情報です。
ここで、株取引の何を基準に「収入とするのか」、また、仮に基準値を超えた場合、即座に扶養から抜けるのか、遡って抜けるのかがかなり重要になりますし、組合によってルールに違いがあるのでしっかりと確認をしておきましょう。
筆者の場合、現時点では超えていないので問題はありません。
しかし、仮に超えてしまった場合、組合によっては収入が超えた年の1月1日まで遡って認定を削除する場合があります。
となると、使用した医療費の返還や国民健康保険へ加入など面倒事がかなり多くなってしまうのです。
組合による例
他の健康保険組合について調べてみました。記載漏れやミスを避けるため、組合名の明示は避けています。
| 健康保険組合名(イニシャル) | 株等の譲渡収入 | 提出書類 | 基準超えの場合の削除日 |
|---|---|---|---|
| C健康保険組合 | 収入とみなす | ・確定申告書 ・特定口座年間取引報告書 など | 不明 |
| N健康保険組合 | 譲渡収入は常態的に売買している場合は収入とみなす 譲渡収入は特定口座年間取引報告書の譲渡の対価の額(収入金額)を指す※1 | 不明 | 不明 |
| A健康保険組合 | 恒常的収入がある(見込まれる)ものを収入とみなす。 株等を保有し続けてるのであれば、恒常的収入とする。 譲渡収入=(譲渡価額-取得価額)。売却手数料は差し引かない。※2。 | ・所得証明書 ・年間取引報告書 など | 1月1日~ 12月31日の1年間で基準を超えた場合、翌年の1月1日より削除 |
| K健康保険組合 | 1年間で複数回行われた場合は収入とみなす。 譲渡収入=(譲渡価額-取得価額)。売却手数料は差し引かない。 | 「特定口座年間取引報告書」により収入確認 | 特定口座年間取引報告書を受領した日※3 |
ここで大きく違いが出るのは※の部分。
例えば「譲渡収入は特定口座年間取引報告書の譲渡の対価の額(収入金額)を指す※1」について。
これが文章通りの意味であれば、株を売ったときにの金額全てが対象になります。
例えば、45万で買う→50万で売って5万の利益を得る、といった取引を3回行った場合、
実際の利益は5万×3回=15万
ですが、
収入金額=売却したときに証券会社から受け取った金額(売却代金の総額)なので
売値×売った回数で50万×3回=150万
となってしまいます。2025時点の「130万円の壁」は超えてしまいますね。
あくまで個人の解釈なので合っているかは不明ですが、このような注意書きがある組合もあるため疑問点は直接聞くのが確実です。
逆に、「株等を保有し続けてるのであれば、恒常的収入とする。譲渡収入=(譲渡価額-取得価額)。売却手数料は差し引かない。※2。」のケースであれば、きちんと「実際の利益」を収入判断にしていることがわかります。
また、基準超えをしてしまった場合の扶養認定削除日については、「特定口座年間取引報告書を受領した日※3」というところもあれば、「確定申告書の申告日」、「基準を超えた翌年の1月1日」など様々。
そんな中、「基準を超えた年の1月1日まで遡る」という組合もあったのでこの点は特に注意して確認したいポイントです。
注意点:「特定口座年間取引報告書」だけじゃチェックは甘いかも
組合によっては「特定口座年間取引報告書」をもって収入を判断します。
が、これにはNISAの利益は含まれていません。
保険者がどこまで書類を見るかにもよりますが、一般的には特定口座年間取引報告書の対象になっていないNISAでの利益も収入として扱うはずです。
そのため、年内で売買益を調整している方は、特定口座損益だけでなく自分が取り扱っている口座・商品全般をチェックすることをおすすめします。
ちなみに、筆者は念には念をで「実現損益」ベースで収入を判断しています。
多くの証券会社はNISAと特定口座も同じ「実現損益」画面で確認できますし、特定口座の損益(=税制上の損益)は平均取得単価を小数点以下切り上げで計算するため、実際手にする収入より低く見積もられるためです。


